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緑の遺産⑤ 秋田県にかほ市象潟町横岡字中島台国有林

あがりこ大王の棲む森 中島台

 赤川流域に広がる中島台レクレーションの森、ブナを中心に巨大な奇形木が散在している森林で、昭和51年、自然休養林に指定されました。この森林には、林野庁の森の巨人たち百選にも選ばれた、樹高25m、幹周り7.62mの巨大なブナ「あがりこ大王」、鳥海マリモが見られる「獅子ケ鼻湿原」や鳥海山の雪解け水が数十年かけて湧き出した「出つぼ」など見所が多い所です。

 地形全体が緩い起伏となっており、辛い思いをしないで散策できる森となっています。駐車場から「あがりこ大王」までは、赤川の流れに沿って緩い登りが約1.5km続きますが、どなたでも気軽に散策することができます。健脚の方は、「出つぼ」や「獅子ヶ鼻湿原」を巡るコースがお勧めです。こちらは全コースで約5.1kmとなります。 
 連絡先
   にかほ市観光課
    〒018-0192 秋田県にかほ市象潟町字浜ノ田1
    TEL0184-38-4305
 
  位置図 
 にかほ市役所象潟庁舎より鳥海山ブルーラインへ向かう。長岡地区で県道289号線に入り南下、湯の台温泉付近で県道58号線へ、そのまま東進する。中島台案内の交通標識有り。
 
  いざ 森へ! 
 駐車場、平日ににもかかわらず観光バスも含め、たくさんの観光客が訪れていました。管理棟の前では団体客の皆さんが本日のコースの説明を受けています。 
  2013年はブナの実が多く生りました。ここ7年間は実の生らない不作の年でした。森林ボランティア団体である「鳥海山にブナを植える会」では、早速苗木造り用の種子採取準備です
  これからブナの森に入ります。木を組み立てて造られた歩道が森に誘います。狭いので、交差をする場合は道を譲り合いましょう。「こんにちは!」と声を掛け合いながら。
  森に入ると何とも奇妙な格好のブナの木々が出現します。瀬音が聞こえてきたら橋を渡ります。あと1kmであがりこ大王の住み処です。
 
 赤川を渡り向かい側へ。ブナにキノコが・・・。
ムキタケかなと思ったのですが、ツキヨタケですね。
秋の山は、キノコや木の実など山の幸にであいますが、毒を持っているものもあります。知らないキノコは食べないように。
  「あがりこ大王」への道と「出つぼ」、「獅子ヶ鼻湿原」への道の別れ。「健脚の人は獅子ヶ鼻湿原一周コースへ、そうでない方はあがりこ大王へ」とガイドの方が説明しておりました。

 


 あがりこ大王」への道を進むと出現する巨大な奇形ブナ。
 「あがりこ女王」と呼ぶ方もいらっしゃいますが、太い幹から伸びる枝、西洋のロウソク立ての形に似ていることから「燭台」と名付けられたそうです。この道の周りは奇形のブナがたくさん見られます。
 
  江戸時代末期より行われてきたというブナの森を利用した炭焼き、中島台レクレーションの森には26個の炭窯跡が発見されています。この地域では、伐採したブナが萌芽し成長すると再び伐採するという90年位のサイクルで繰り返していたそうですが、伐採しては萌芽させるという繰り返しがこの奇形ブナの原因という説が最も有力で、編集子もそのように思っています。
 萌芽したもののうち、数本を残しながら成長を待つといった森林施業がこのような奇形につながったものと解釈するのが適切と考えています。

 
 森の中の小高い丘にそびえ立つ「あがりこ大王」、多くの観光客が訪れます。
推定樹齢は300年以上、樹高25m、幹周り7.62m。

  あがりこ大王から出壺へ
  横倒しになったブナの大木。森の中には、このように根こそぎ倒れた木々が見られます。倒れたところは空が開け、陽の光が降り注ぐようになります。成長を抑えられていた低い木々が、競争するように光を求めて空へ向かって伸びていきます。
 若い木々は、この空間をふさいでいき、数十年の年月を経て大きな木々になるのです。森の更新です。
 別れ道に戻ります。出つぼからコケ群落地へのコースを取るのが楽な道です。
  出つぼ(別名:熊の水飲み場)は湧水地、ここに湧き出る大量の水は、鳥海山の雪解け水が80年以上もかかって湧き出しているとのこと。酸性(ph4.4~4.6)・低い水温(7℃~8℃)で、年間を通じて水量も水温もほぼ一定しているとのことです。
 現在、出つぼの周りは、周りを取り囲む木々が倒れて少なくなり、乾燥が進み、近くまで立ち入ることが出来ません。上の写真は2013年9月のもの。下の写真は2003年のものです。立ち入り禁止の区域には入り込まず、眺めて下さい。大切な森を守っていきたいものです。

 
  出壺から鳥海マリモへ
  出つぼから鳥海マリモへのコースは、苔むした岩の道の上り下りです。湿原が広がり、奇形ブナも見られます。
 初秋には、紫鮮やかなリンドウの花も見られます。

 
  鳥海マリモ
   
  「 ハンデルソロイゴケとヒラウロコゴケが絡み合って球体状になったものが俗称として『鳥海マリモ』と呼ばれています。内部に古いからだを遺骸として残しながら、表層が成長を続けた結果が球状となったといわれています。 象潟町・由利森林管理署 」(案内板から)

  マリモというと阿寒湖の球状のマリモが思い浮かべますが、鳥海マリモは苔の一種で、主に標高1500mの高冷地に見られるそうです。獅子ヶ鼻湿原を形成する「出つぼ」からの湧水は一年を通じて7~8と低温度という環境が鳥海マリモを育んでいます。
  鳥海マリモから出口へ
    夏は、この水の流れでひとときの涼を楽しみ、さて戻りましょう。急な階段を上ると出壺への分岐点に到着です。あとは元来た道を戻る   だけです。
 管理棟脇の広場、森から帰りお弁当を食べたり木の実を拾ったり一休みです。
 早春、残雪とブナの芽吹きの森、秋、黄葉の森、中島台で四季それぞれの森林浴や自然観察をお楽しみ下さい。
 なお、一般社団法人にかほ市観光協会では、観光案内人を紹介しており、中島台の案内を行っております。詳しくは次へお問い合わせ下さい。

一般社団法人にかほ市観光協会
  〒018-0158 秋田県にかほ市象潟町字琴和喜17番地1
  平日 8:30〜17:00
  TEL 0184-43-6608    FAX 0184-43-6609

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