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夏休み特別企画「森と木の生活塾」

 2019年7月27日(土)、夏休み特別企画「森と木の生活塾」が、秋田県森林学習交流館プラザクリプトンを会場に開催された。一般参加者、森の案内人、森林インストラクター等約80名が参加。真竹のそうめん器づくり、森のクラフト、木工体験、森の散策・ネイチャーゲーム、森の紙芝居、アウトドア体験、アルプホルン体験、森の恵み・クロモジ茶試飲・ミズたたきづくり体験、樹木測定、林業機械展示デモなど多彩な催しが行われた。
  • 主催・共催/秋田県森の案内人協議会、秋田県森林学習交流館プラザクリプトン、秋田県森林インストラクター会、秋田県林業研究研修センター
  • 協賛/(一社)秋田県森と水の協会、(公社)秋田県緑化推進委員会
  • 開会式・・・秋田県森の案内人協議会佐藤喜八郎会長あいさつ
  • 森の恵み実演・体験コーナー・・・クロモジ茶の試飲、ミズたたきづくり体験
  • クロモジ茶・・・秋田に自生しているのは、クロモジの変種・オオバクロモジ。幹や枝が緑色をし、枝を折ると芳香があることから、和菓子の楊枝に欠かせない樹木である。古くからマタギは、胃腸が弱っている時にクロモジの木の枝葉を煎じて飲んでいた。そんなマタギの里阿仁では、クロモジを細かく刻んで天日干ししたクロモジ茶が販売されている。
  • クロモジ茶の特徴・・・ハーブティー感覚のさわやかな味と香りが特徴。健康茶としてホットでもアイスでも美味しい。
  • ミズの皮むき体験・・・ミズは、独特の粘りとシャキシャキした歯触り、さらに利用期間が最も長い一級品の山菜である。それだれけに料理のバリエーションも広い。調理するときは、根、茎、秋のコブコ(ムカゴ)に分け、茎は皮をむいてから調理する。おひたし、ミズたたき、即席漬け、味噌汁の実、煮付け、油炒め、卵とじ、和え物など。
  • ミズたたきづくり体験・・・数あるミズ料理の中でもダントツ美味しい。アカミズの葉をとってざっと熱湯を通し、ビニール袋に入れて、その上からすりこぎでたたいてつぶす。さらにまな板の上で粘りが出るまで包丁でたたく。これに味噌を入れて混ぜながら軽くたたいて、最後に山椒の葉を細かく刻んで入れる。好みに応じて生姜やニンニクを入れてもOK。小鉢に盛り、山椒の葉を添える。
  • 真竹のそうめん器づくり・・・真竹を使って、そうめんを入れる器とコップをつくる 
  • 真竹はノコギリで両サイドの節を残して切る・・・真竹は、モウソウチクに比べて肉厚が薄く、加工しやすい。親や指導者に両端を抑えてもらいながら、ノコギリで焦らずゆっくり・・・押す時ではなく、引く時に切る
  • 作業風景
  • ノコギリで切った真竹を指導者に割ってもらう・・・竹を割る専用のナタを使い、真っ二つに割る。
  • 真竹は切ったところが鋭いので、紙やすりなどで丸くする 
  • 真竹そうめんセットの使い方
    1. 節の黒い汚れの部分を水とかたいブラシなどできれいに落とす。
    2. そうめんを食べる前は、必ず除菌洗剤で洗った後、洗剤をよく洗い流す。
    3. 水やツユが漏れるので、下におしぼりなどを敷く。長い時間、入れたままにしないこと。
    4. そうめん入れは、回転するのでおしぼりの両端を丸めて固定する。
    5. 使い終わったら、水やお湯でブラシ等を使って洗うこと。洗剤に漬け込むと、染みこむので✖。
    6. 竹コップの中に漏れないコップを入れてお花などを飾ることができる。
    7. 今年の夏しか使えない。割れたり、カビが生えたりするので、外で植木鉢などに利用してください。
  • アルプホルン体験(奥山勝栄さん作)・・・豪雪地帯のスギ人工林では、雪圧で根元が曲がる。その自然がつくった曲線がアルプホルンの形にピッタリである。アルプスホルンは、筒の長い楽器で、指で押さえる穴のようなものは着いていない。吹き方で音程を調節する。アルプスの少女ハイジのテーマソングで、最初になる低い音の楽器が、アルプスホルンである。
  • 森の木工体験・・・ミニ椅子をつくる木工体験や昔懐かしい竹トンボづくりなどが行われた。
  • 竹トンボ・・・竹とんぼを作り、芝生広場で竹トンボを飛ばして遊ぶ。   
  • 林業機械展示デモ
  • アウトドア・ロープワーク体験
  • ネイチャーゲーム「カモフラージュ」・・・生きものたちは、敵から身を守るために、まわりに同化する色(保護色)になったり、色や形を周囲の他のものに似せたりして、カモフラージュしている。それを見つけることのできる観察力を養うことができるゲーム。  
  • ロープを張り、その内側に自然の中では絶対にない人工物を目立たないようにセットしてある。参加者は、お互いに話をせずに人工物を探し、その数を数え、終点にいる指導者にこっそり耳打ちをする。間違うと、もう一度、スタート地点に戻って再挑戦する。  
  • オニヤンマを捕まえた女の子・・・クリプトン周辺の森には、昆虫類が多い。近くのビオトープ周辺の水辺には、羽化したばかりのオニヤンマたちが林内を飛び回る姿が多数見られる。虫捕り網を片手に走り回っていた女の子が、何とそのオニヤンマを見事捕まえた。 
  • 樹木の直径を測る
  • 測竿で樹木の高さを測る 
  • 器械を使って樹木の高さを測る 
  • 樹木測定・・・様々な測樹器械を使って、樹木の直径を測ったり、樹木の高さを測る体験が行われた。
  • 森の散策・・・クリプトン周辺の樹木を観察。各樹木には、森林インストラクター会で作成した「子ども樹木博士」用の説明パネルが吊り下げられた。以下にその解説を参考に記す。
  • カマツカ(鎌柄)・・・花は白く、葉は黄色に黄葉する。小さな実はまだ緑色だが、熟すと赤くなる。丈夫で折れたり割れたりしないので、カマやカナヅチなどの柄に使う。 
  • アカシデ(赤四手)・・・垂れ下がる実が、しめ縄や玉串などで垂れ下がる紙垂(しで)に似ているから「シデ」。新芽が赤く紅葉も美しいことから「アカ」。丈夫で折れないので農具の柄に使われている。
  • アセビ(馬酔木)・・・毒があるので、馬や牛が食べるとお酒に酔ったようにフラフラする。公園などに植えられている。早春、スズランに似た白い釣鐘の花を鈴なりに咲かせる。
  • ヒメシャラ(姫沙羅)・・・白い花はおしべと一緒に1日で落ちる。ナツツバキ(別名シャラノキ)より小さいので、ヒメシャラ。関東から南に生えるが、東北でも育つ。
  • ヒョウタンボク(瓢箪木)・・・夏に赤い実が2個くっつきヒョウタンの形になる。実は毒があるので食べてはいけない。春に白い花が黄色になるのでキンギンボクともいう。
  • アジサイ(紫陽花)・・・アジサイは古くから栽培されている庭木。咲くにつれて色が変わる。また土が変わると色も変わる。葉っぱには毒があるので食べないこと。
  • ブナ(橅・山毛欅)・・・ブナの実は、殻の中に三角形の茶色の実が二つ、向かい合って入っている。その実は、ツキノワグマやニホンザル、ムササビ、リス、ネズミ、ヤマネなどブナの森に棲む野生動物たちにとって欠かすことのできない貴重な食料である。ただし、実は毎年つけるわけではなく、およそ4~8年ごとに豊作の年が来て、その間に平作と凶作の年が交互に来る。
  • トチノキ(栃木)・・・風車のような大きな葉と、夏にできる果実が特徴。秋に熟すと、種子をすりつぶして「トチモチ」などの材料として利用されている。 
  • ヤマモミジ(山紅葉)・・・日本海側の山地に多くみられ、葉っぱが秋になると、黄色から赤色に変わり美しい。
  • ユズリハ(譲葉)・・・冬になっても葉は落ちない。春になって若葉がのびると古い葉は「若葉に譲る」ように散る。親が成長した子にあとを譲るのにたとえて、めでたい木とされ、古くから正月の飾りに使われている。
  • ハクウンボク(白雲木) ・・・春に白い花がたくさん咲く。白い雲みたいに見えるので「白雲木」と名づけられた。果実は球形で9月に熟す。
  • コナラ(小楢)・・・ドングリがなる木。ドングリは、森の動物たちの大切な食べ物。昔はマキや炭に使われた。
  • モミジバフウ(紅葉葉風)・・・葉が大きなモミジの形をしているアメリカの木で、別名「アメリカフウ」ともいう。小さなクリのイガの形の実がたくさんついている。葉は秋に赤くなる。
  • 森のクラフト(クリプトン視聴覚室)
  • 豊富な自然素材・・・木の実やドライフラワー、色づいた葉っぱ、木の枝、竹、貝など、自然の豊富な素材を使って森のクラフトづくりを楽しんだ。  
  • 森のクラフト・ミニリース作業風景 
  • 森の紙芝居・・・「森はみんなのたからもの」と「そらの100かいだてのいえ」の二つの紙芝居を観賞。
  • 第1話:紙芝居「森はみんなのたからもの」・・・小学生の主人公が森の妖精エココと出会い、森林整備から木材利用の大切さ、山と海の関係などを楽しく学ぶことができるストーリー。 
  • 第2話:「そらの100かいだてのいえ」・・・主人公はシジュウカラのツピくん。ある寒い雪の日のこと、おなかを空かせたツピくんは、ひと粒のひまわりの種を見つける。花を咲かせて、種を増やすことを思いつくと、植える場所を探しに空へと飛び立つ。そして、雲の上に不思議な100かいだての家を見つける。空の家に暮らすのは、1かいから10かいまでは「くもさん」、11かいから20かいまでは「あめさん」、21かいから30かいまでは「にじさん」など、自然現象をモチーフにしたキャラクターたち。雨水をかけてくれたり、暖かい風を吹かせてくれたりと、様々な方法でツピくんを応援してくれる。
  • 次のかいは誰がすんでいるのか・・・子どもたちは、物語にどんどん吸い込まれていく。最後の90かいから100かいには誰がすんでいるのか。生きものと植物、自然環境とのつながりを理解できるユニークなストーリーがオモシロイ。